旅先で本を買う

ようやく夏の出張シーズンが終わって、一息ついたkonamaです。この夏は本当に酷暑、豪雨、台風、地震と、本当に色々とやってきました。出張に出かけた場所も復旧の途中だったり、台風直撃だったり。被害にあわれた方、あわれている方には心よりお見舞い申し上げます。なかなか何か支援をということができておりませんが、落ち着いたらまた旅でうかがいたいと思っているところです。

一番最近出かけた出張先は広島で、東京エリアからは新幹線で4時間、以前なら行き帰り何冊か本を持たなくちゃなあ…という感じでした。しかし、最近はカメラも持って行きたい、ってなるとどちらかというと軽量化に務めることになります。キンドルとか電子書籍もあるので(iphoneでは読みにくいし、雰囲気のある本はもったいなくて読めないけれど)、そういう意味では両立可能にはなったのですが、問題は 旅先で見つける本。なんで旅先で見かける本てあんなに魅力的なのでしょう!

おまけに、最近ではTwitterなどから、突然ものすごい読みたい本の情報が降ってくるのです。この上の手書きツイートで言ってるのは「 Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち」のこと。新幹線の中でこの書評を見かけて、絶対読みたい、広島だから大きい本屋もあるだろ!とチェックインもそこそこに(午前中仕事してから出てるので、閉店間際ですよ)本屋に駆け込んだのでした。たまに、読みたい!今すぐ!って衝動に駆られる時があって、そういうときは自分の盛り上がりに逆らわないようにしています(そしてものすごい集中力であっという間に読む)。しかしながら今回は、上に書いたとおり、実はまだ発売されてなかったというオチ。夜遅く広島駅前の蔦屋でiphone片手に肩を落としていたのは私です。

こんな突発的な熱がなくても、これまで旅先でずいぶんとハードカバーを買ったものです。前橋のシャッター商店街の本屋で探していた料理の本に出会い、神戸では大好きな作家さんの知らなかった絵本をみつけ、京都ではジャケ買いで海外文学を買い、札幌ではちょっと気になるコーヒーの本を。ヘタすると帰る前に読み終わっちゃうから、帰りの新幹線や飛行機で読むモノは別に駅の本屋で買ったりする。一番ひどいときはあきらめて、お土産とともに宅急便で自宅に送ったことも。

それにしても、なんであんなに旅先の本屋が魅力的なのかなあと考えると、ちょっと思い当たるところがあります。
 私の場合、割と出張は大都市の駅近くに用事があることが多く、それにあわせて駅の徒歩圏内に宿をとります。そうすると、大きな夜遅くまでやってる本屋が目の前にある、という好条件。普段のことを考えると自宅は関東圏内ですし、休日に大きな本屋があるエリアまで行けます。でも帰りにちょっと満足行くぐらい大きめの本屋に寄るって最近はないんですよね(昔都内に通ってたころは帰り道に大きな書店のはしごができちゃったので、これはこれで月の本代がエライ大変でした)。
 それから、出張中は会食もお仕事の内だから、食事をしてお酒を飲んで、じゃあねとわかれてから手ぶらで駅にむかって、目の前に本屋の看板。今日はもう他にすることがないから、ほろ酔いで閉店までのんびり本の背中を見て歩くって、なかなか幸せな時間だなと思うのです。
 会食がないときは(前日入りの時とかね)、一冊本を買って、読みながら夕飯。ビールとちょっとなんか食べてのんびり過ごすのも楽しい。昼に時間が取れたときは、ちょっと探検して昔からの本屋さんや古本やをのぞいて掘り出し物を。こんな一人時間の楽しみが本と結びついているから、つい本を買ってしまうのかもしれません。

それに、地方の面積をしっかりとった本屋だと、買い逃した本を見つけたり、思いがけない本が平積みになっていたり。通いなれた本屋とはまた別の出会いが待っていてくれます。
 そんなに買ったら帰りが大変、重くなっちゃいますよ―と頭のなかで警告が聞こえるのだけど、アマゾンで頼んで家に送っておけば…というのはちょっと違うのです。いまこの時間の記念に手で持って帰りたいのです。

そんな風に持って帰ってきた本が家の本棚にはいっぱいあります。読み続けている作家の新刊だって、旅先で出会えば迷わず連れてかえります。
 昔そんな風に連れて帰った本のいくつかはさくらももこさんの本でした。小型だけれど文庫じゃなくハードカバー、電車のなか笑いをこらえながら読んだ記憶がふと浮かんできました。訃報を聞いて、本棚の一角をしめるこのハードカバーのエッセイたちを引っ張り出して懐かしいフレーズを。一緒に旅をしてくれてありがとう。ご冥福をお祈りします。

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